パラマウントベッドホールディングス株式会社
グループ一括の「請求書電子化」プロジェクトに伴走したBPORTUS「請求書発行BPOソリューション」の対応力

医療・介護用ベッド、家庭用ベッドメーカーの代表格である「パラマウントベッド」様。事業領域が異なる国内4社、国外8カ国9拠点によるグループ経営を行っています。
同社は2011年にホールディングス体制に移行し、2018年から基幹システムの刷新に着手しました。 それに伴い必要となったのが、業務に伴う膨大な関連ツールの入れ換えとアップデート。BPORTUSでは「請求書発行BPOソリューション」を通じて、請求書紙発行のアウトソースに加えて、請求書の電子化を支援させていただきました。
グループ全体で4,000名を越える大企業であることに加え、多角的でありかつグローバルに展開する事業ごとに品目の異なる請求書のペーパーレス化には「壁」もあったといいます。システム構築の現場と営業・顧客コミュニケーションの現場でそれぞれ直面した課題とは? 請求業務のBPOにおけるデジタイゼーション、プロセスの整理とコスト削減効果、顧客からの反響も含めてリアルに知ることができるプロジェクトストーリーです。
パラマウントベッド株式会社 システム統括部・村田様、営業本部・金澤様に伺いました。
基幹システムの大改修で動き出した「請求書電子化」狙いはタイムラグ解消とコスト削減


まず、今回のBPORTUS「請求書発行BPOソリューション」の導入の経緯を教えていただけますでしょうか。
営業本部・金澤様 従来から当社グループの請求書発行代行業務は、グループ内の個社ごとに契約を結び、委託しており、そのなかにBPORTUSさんもいらっしゃったという状況でした。
システム統括部・村田様 その状況が変わったのは、2018年から開始したグループ全体の基幹システム刷新でした。1990年代から拠点ごとに個別化されていたオンプレミスのシステムをクラウドファーストに変えて統合し、営業支援/フィールドサービス/マーケティングから販売/購買/在庫/生産/会計まであらゆる現場の業務で標準化するというもので、現在(取材時点)は「パラマウントベッドホールディングス」「パラマウントベッド」「パラテクノ」「パラマウントケアサービス」の国内4社でスタートしています。
営業本部・金澤様 それを契機に委託先を全社で統一し、BPOと電子化を行いたいという相談をBPORTUSさんにさせていただきました。2021年の秋ごろでしたね。

メインのご要件としては請求書をペーパーレス化し、電子発送を選択できるようにすることでした。やはりコロナへの対応だったのでしょうか?
村田様 いいえ、請求書の電子発送は2018年からのプロジェクト発足時からの目玉のひとつでした。それまで当社の書類はほとんどが紙管理で、紙で伝票や注文の控えを保管し、お客様へは各拠点から郵送していました。各社で月次で売り上げが締まってからお客様のもとへ請求書が到着するまで3~4営業日ほどかかり、タイムラグが出てしまいます。
金澤様 営業現場では、請求書の発送後にお客様から「処理が間に合わないためFAXで送ってほしい」という要望をいただく場合もありました。
もちろんコストも問題でした。郵送料の値上げが話題となっていた時期でもあり、いきなり全てを電子化はできなくとも、システム刷新のタイミングで紙と電子を併用できる体制を整えようと。
他にも検討先があるなかで、当社BPORTUSに一括で委託を決めていただいた理由をお聞かせいただけますでしょうか。
金澤様 決め手は、やはり電子化にあたっての対応力でしたね。当社はグループ各社で送付先の管理が異なり、紙と電子の併用も必要になります。そうした体制に最適化されたBPOサービスを組み上げて実現する提案をいただけたのは、BPORTUSさんだけだったんですよ。
多角化する事業ごとの請求書をどこまでスリム化できるか?最適化を目指したテンプレート設定に伴走

「請求書発行BPOソリューション」は、紙・PDF・電子データの請求書の作成/印刷/封入/郵送/配信/保管などを支援代行するものです。システムの実装にあたっての課題を振り返っていただけますでしょうか。
村田様 基幹システム刷新時のシステム担当者の方は皆さん同じ悩みをお持ちかもしれませんが、とにかくスケジューリングが難しかったですね。システム統合をメインで進めながら同時進行でBPOを含めた周辺システムもつくっていかなくてはなりません。
それに加えて、「請求書」ならではの課題がありました。システムを統合する国内4社は、経営側の「パラマウントベッドホールディングス」、医療福祉用ベッド、マットレスなどを製造・販売する「パラマウントベッド」、ベッド・マットレスのメンテナンスなどを行う「パラテクノ」、パラマウントベッド製品をはじめとした福祉用具のレンタル卸事業の「パラマウントケアサービス」で、顧客も事業スタイルも異なっていました。

当然、請求書に記載する品目も多様化するわけですね。
村田様 そうです。しかしながら請求業務を標準化していく場合、請求書の帳票レイアウトは共通化した方が効率も上がるため、理想形ですが、いままで各現場のユニークな形式で作成されていた書式をどこまで最適化できるかという点が手探りでしたね。まずは思い切って記載箇所を削れるまで削り、全社で一本化して進めていきました。
金澤様 しかしプロジェクトがかなり進んだ段階で、グループ内で声が上がってきたんですよ。「この項目をなくしてもらっては困る!」と。
村田様 そうですね。例えばレンタル事業がメインの「パラマウントケアサービス」では、レンタル開始日と終了日の項目が必須になります。各社で分けなければならない個別項目の整理と制御のせめぎ合いがありました。
まさにシステム統合時の課題だと思います。当社もこの時期にご苦労されていたことはよく覚えていますが、なぜプロジェクトの途中で手戻りが発生してしまったのでしょうか?
金澤様 電子化のプロジェクト開始時には、社内でうまく最終的なイメージが共有できていなかったからではないでしょうか。私はシステム統合後の請求業務の運用体制を決めることが役割でした。国内9ヵ所の支店にそれぞれに配置された会計担当にレクチャーしていくのですが、月次で会議を主催してもなかなか理解が進みませんでした。あわせて営業などの別現場にもレクチャーしていくと、徐々に全社でリテラシーが向上していきました。そのなかで最初は見過ごされていた課題が発見されたのだと思います。その際に生じたスケジュール変更や仕様変更などにも、BPORTUSさんは柔軟に対応していただきましたね。
村田様 何度かテンプレートを改修し、個別項目を設定しながらヘッダー部分は共通化するなどの形に落ち着きました。 BPORTUSさんには項目のレイアウトからフォントの大きさまで、最適なテンプレートを決める細かい調整に最後まで粘り強く伴走していただき感謝しています。
顧客の請求書電子化を後押しした「社内推進力」とBPORTUSの対応力

パラマウントベッド様の請求書電子化のご支援では、BPORTUSとしてもペーパーレスを求める時代の潮流があるなかでとてもやりがいがありました。請求書電子化の切り替えにあたり、お客様のご反応はいかがでしたか。
金澤様 エンドユーザーには2023年7月から請求書電子化への切り替えのアナウンスを行いましたが、取引先の4割程度が切り替えを選択いただいてのスタートとなりました。
頻繁に取引がある顧客の4割をいきなり電子化達成とは、非常に良い結果ですね。
金澤様 対応を一本化するために請求書専用のサービスデスクを設置して進めたことが奏功しましたね。すでにBPORTUSさんが請求書発行代行を担当いただいていた個社に関しては、請求書に案内文を同封いただいたサポートも効果的でした。しかし、もっとも大きな追い風はやはりコロナ禍です。切り替えにはお客様側にどうしてもひと手間発生するため心配していましたが、時流に助けられました。「電子化したいと思っていた」と喜ばれるケースも多く、現場の営業員にとってもいい話題のひとつになっていたようです。
電子化の進捗率は地域によっても変動します。業界も医療・介護施設から個人まで幅広いですね。どのような顧客で課題があるのでしょうか?

金澤様 仰る通り、地方都市は切り替えが少ない傾向にあります。業界で言えば介護ショップ、家具・インテリアショップ様など。特に福祉用具のレンタル卸事業の「パラマウントケアサービス」は明細の量が多く、電子化が進めば非常に大きなコスト削減になります。
業界によっては郵送やFAXがまだまだ根強いところもあり、IT企業のようにはスムーズにいきませんが、ひとまずは良いスタートを切れました。かつての当社のように書類の紙保管をされてきたお客様にどう切り替えを進めていくか、さらに工夫を重ねていきます。
今回はありがとうございました。DXやデジタイゼーションを進める企業の担当者様にとって勇気を与えるお話をいただいたと思います。
最後に、時間的・人的なコストがかかるシステム統合と書類の電子化を成し遂げられた理由は何だったと思われますか。
金澤様 やるしかない、という覚悟でしょうか(笑)。そのうえで定例の勉強会を繰り返して社内のリテラシーを高め、一丸になっていったこと。細かな調整点を見つけては全体をカスタマイズしていくことも重要です。
村田様 そのなかで、BPORTUSさんには統合システムへのBPOの組み込みと、請求書テンプレートの調整など、大規模かつ当社グループの特殊な個別ニーズに対応していただき感謝しています。最終的な電子化率は全顧客で8割、9割を目指していきたいですね。
インタビュー実施時期:2025年2月

お客様プロフィール
- 会社名
- パラマウントベッドホールディングス株式会社
- 設立日
- 1982年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 木村 恭介 代表取締役社長 木村 友彦
- 事業内容
- パラマウントベッドグループは、1947年に創業、病院用ベッドの専業メーカーとしてスタートし、高齢化の進展に伴い高齢者施設や在宅介護分野へと事業領域を拡大してまいりました。 2030年に向けたビジョン「医療・介護から健康まで、すべての人に笑顔を」を掲げ、あらゆる人の健康的な日々とよりよい人生を支えるため、現在はITやデジタル技術を活用した製品・サービス、メンテナンス事業や福祉用具のレンタル卸事業、一般消費者向けのスリープテック関連事業など、国内外においてヘルスケア分野を中心にビジネスを拡大させています。
