ポイント解説事例

業務効率化を実現するためのポイント・注意点とは 〜DXの先駆者、NECグループの事例から徹底解説〜

企業の業務効率を高め環境変化に適応することは、重要な経営課題です。業務の無駄を省くとともに、データを活用し迅速な経営判断ができることが重要になります。これらを実現する手段として、バックオフィス業務のシェアード化やITを活用した業務改革があります。

そこで今回は、NEC(日本電気株式会社)グループにおける経理・財務の業務改革を担っているNECビジネスインテリジェンス株式会社(以下、NECビジネスインテリジェンス)の関根一臣氏と、同社にてNECグループ内の企業向けバックオフィス業務改革を手がける齋藤勝人氏、株式会社BPORTUS(ビーポータス/以下、BPORTUS)のビジネスサービス事業部長・宮戸和好が、NECグループの事例を基にバックオフィスの業務改革を成功に導くポイントを語ります。

バックオフィスの課題解決への取り組みについて

まずはNECビジネスインテリジェンスの役割についてお教えください。

NECビジネスインテリジェンス株式会社 取締役執行役員 兼 ファイナンス部門マネージングディレクター 関根一臣氏

関根氏:NECビジネスインテリジェンスは、NEC国内グループ会社の間接業務を集約し、業務を改革する中核組織として設立されました。私が携わっている経理や管理会計の領域はNECおよび国内グループ17社にサービスを提供しています。この他、人事、給与計算、調達、IT、総務、営業事務など、幅広い領域のサービスを提供しています。一般的に、シェアードサービスは限定的な処理業務のみを担うことが多いのですが、私たちはより踏み込んだサービスを提供しています。例えば経理領域では、決算や一部の原価計算までサービス提供しており、幅広く手がけていると言えます。日本のシェアードサービス事業者の中ではかなり規模が大きく、トップ5に入ると認識しています。

幅広くサービスを提供していらっしゃるわけですね。関根さんのご経歴と役割についてもお教えください。

関根氏:私はNECの経理領域にて長くキャリアを積んできました。その後、NECビジネスインテリジェンスの創設に伴い、経理・財務領域の業務改革とグループ全体におけるシェアード化の推進を担ってきました。現在は執行役員として、経理・財務と管理会計の領域に携わっております。

齋藤さんもNECビジネスインテリジェンスに所属されていますが、どのようなお立場でしょうか?

NECビジネスインテリジェンス株式会社 ファイナンス部門 経営サポートサービス統括部 ディレクター 齋藤勝人氏

齋藤氏:私は、金融機関での法人営業やファニチャーブランドでのファイナンス部門を経てNECグループに入社しました。現在はNECグループ内の中小規模企業向けにバックオフィス業務改革を支援する新規事業を立ち上げ、同プロジェクトのプロジェクト・マネージャーも務めております。多くのお客様から、バックオフィスのリソース不足が課題と伺っています。また、業務ノウハウを持つ人材の確保は、コスト・時間もかかり、すぐには難しいという話も伺います。そのような課題感をお持ちの企業に対し、私たちがバックオフィス業務の専門家としてサービスをシームレスに提供できるのではないかという発想から、事業を立ち上げることになりました。

バックオフィスの改革を始めようとしても何から着手すればいいのかわからないケースも多そうですね。

関根氏:全ての領域に詳しい方は、そういないものです。自社に何が必要かの見極め無しに、適切な仕組みの構築は困難でしょう。ガバナンス面でも、企業規模や体制により、クリアすべき最低ラインは異なります。NECグループでは、小規模の会社にも一定以上のガバナンスが求められますが、NEC本社と同等の基準を適用すると、事業維持自体が難しくなってしまいます。

業務内容や企業規模に応じた体制の見極めが成功のポイントでしょうか?

関根氏:はい。NEC社長の森田からも言われていることですが、私たちは現場の社員のストレスを最小にするためにも、業務内容と解決すべき課題をきちんと理解し、「何を、どこまでやるのか」の見極めを大切にしています。バックオフィス業務に割けるリソースにも制限があり、「ここは割り切る」「ここは守らないと致命傷を負う可能性がある」など、しっかり見極めて采配することが重要です。

齋藤氏:企業の規模感やフェーズを見極め、最適なリソース設計や判断をできる点が、私たちの強みです。

BPORTUSはどのようなサポートを行っているのでしょうか?

株式会社BPORTUS ビジネスサービス事業部 部長 宮戸和好

宮戸:私はNECのソリューション営業の後、サービス事業に携わりグローバルも担当してきました。この中でDXの実現には、最初に業務改善を行うことが重要だと考えるようになりました。NECビジネスインテリジェンス在籍中は、人事・経理・IT・営業事務など幅広い領域で業務改善を進め、現在はBPORTUSでお客様の業務改善を支援しています。

BPORTUSではどのようなことを手がけているのでしょうか?

宮戸:私たちは、三井住友銀行及びNECの関連会社として持つ金融決済サービスやデジタルへの深い知見と、多様なビジネスパートナーと連携し、お客様に最適なBPOを提供できることが強みです。課題解決に最適なツール・サービスの選定、これらを組み合わせたソリューションの構築、その後の運用サポートを手掛け、長期的な業務改革も支援しています。先ほど関根さんがお話されたように、お客様の業務や背景をしっかりと理解することを大事にし、ゴールまで伴走していきます。

NECビジネスインテリジェンスとBPORTUSはパートナーとして、どのような連携をしているのでしょうか?

宮戸:様々な理由でBPORTUSにご相談頂く中で、「自社と同様な課題を解決してきた方のお話を聞きたいが、機会が見つからない」というお声も多いので、NECビジネスインテリジェンスで自ら業務改革に取り組まれた関根さんにご協力を仰ぎ、その経験をお客様に直接話して頂くようになりました。

関根氏:お客様が一番聞きたいのは“苦労話”であることを実感しています。綺麗な絵を描いてもらっても「本当に実現できるのか?」と思われるようです。私たちが苦労しながら歩んできた業務改革の道のりについてお話しすると、非常に共感していただけます。「NECグループは十数年かけてここまで改革はできたが、ここはまだまだです」というリアルな実態をお話しすると、皆様は安心されると同時に、「しっかり取り組まなければ、たどり着けない」ということもご理解いただけているように思います。

宮戸:BPORTUSは、バックオフィス業務の改革・効率化を支援していますが、まだ若い会社のため、社内事例が豊富にあるわけではありません。そこで関根さんに、業務改革のエピソードや課題の具体的な解決方法などを紹介頂き、そこから浮き彫りになるニーズをBPORTUSが汲み取り具体化する という形で取り組んでいます。

【お客さまから良く寄せられる課題・悩み】
・各業務領域の専門人材の確保が困難。バックオフィス業務の人的リソースが不足
・自社にとって必要か否かを見極めることができず、適切な仕組みの構築が困難
・予算や企業の規模感に応じた、適切な仕組みを構築したい
・「自社と同様な課題解決に取り組んだ相談相手が欲しい」「壁打ちで具体的な解決策を模索したい」と考えているが機会がない

“会社軸”ではなく、“機能軸”で業務を捉え、標準化することに成功

ここからは、NECビジネスインテリジェンスが取り組んだ業務改革の事例について伺います。当初の経緯についてお教えください。

関根氏:1990年頃、NECは通信・半導体・コンピューターの領域で世界トップ5に入る会社でしたが、幅広く事業を展開した結果、専業メーカーに投資規模で立ち打ちできなくなりました。また、部門や会社が異なると、業務の進め方も利用するシステムも異なっていたため、非効率でガバナンスも弱い状態でした。2012年には深刻な業績悪化に陥り、再建のため事業や人員の整理が行われました。これを機に、間接業務のコスト削減に向け、ビジネスプロセスのシンプル化に取り組むこととなりました。2014年には、国内グループ全社のコーポレート機能を1社に集約するため、NECビジネスインテリジェンスの前身となるNECマネジメントパートナーが設立されました。

最初に着手されたことは何でしょうか?

関根氏:各社の経理業務担当者を一拠点に集める物理的な集約から始めました。当初は各自が自社のやり方で業務を続けており(会社軸)、同じフロアで働いていながら互いの業務がわからない状況でした。これでは改革が進まないため、決算や債権・債務、固定資産、資金など、各会社共通のカテゴリーでの業務標準化(機能軸)に着手しました。

具体的にはどのように進めていったのでしょうか?

関根氏: 当初は会社軸の組織編成はそのままにし、各社から各領域に強いメンバーをタスクフォース形式で集め議論していきました。しかし、「うちの会社の決算業務では、その方法はできない」、「自社の会議があり、その時間の会議には参加できない」など、議論が一向に進みませんでした。そこで、組織編成を“機能軸”に切り替える方針にしました。

“機能軸”の体制とは? “会社軸”とどう違うのでしょうか?

関根氏:まず、決算や債権・債務などの“機能”を軸として業務を切り分けました。誰もがどの会社の業務でも担当できるようにするため、機能毎に業務オペレーションを標準化しました。また、日々の業務と改革を並行するために、ワンマネージメントで進めました。機能軸で捉えることで、例えば決算業務の繁忙期は業務に集中し、落ち着いたら改革活動の比重を増やすという考え方が取れました。

体制構築への道のりについて教えてください。

関根氏:まず機能軸毎に「どんな業務を手がけているか?」「所要時間は?」「いつ行っているか?」を各社の担当者に整理頂き、可視化しました。「どんな業務」を「いつ」進めているかの可視化が非常に難しかったです。

そこにはどのような背景・理由があったのでしょうか?

関根氏:決算業務一つ見ても、各社で進め方やレポート内容が微妙に異なっていました。例えば、退職給付引当金は、計算に必要な情報を人事担当者からそのまま入手できる場合もあれば、給与などの基礎情報のみ入手し、経理担当者が計算して決算データに結びつける場合もありました。伝票の入手プロセスや処理方法、締め切りなども各社で異なっていました。各社から同じデータを入手し一括処理をする仕組みを作れば、大きく効率化できると考えましたが、そう簡単ではありませんでした。

齋藤氏:少ない人数で業務を回している場合は、業務が属人化しやすく、業務整理やDX化そのものが難しいというケースがよく見られます。

関根氏:NECビジネスインテリジェンスでも同様で、ベテラン社員の頭の中にしかない業務の見える化は至難の業でした。彼らにとって長年続けてきたその業務は当たり前であり、詳細に書き出しているつもりでも不十分になってしまうのです。また通常業務もあり、改革の活動に多くの時間を割くことができない状況でした。

この状況をどのように解決されたのでしょうか?

関根氏:整理すべきポイントの理解が各自で一致していなかったため、整理する項目を標準化できるツールの導入が必要と考えました。経理業務変革プラットフォーム(BlackLine)のタスク管理機能の導入により、ある程度の可視化ができました。各社の業務を同じフォーマットに並べることで、ようやくデータに基づいた比較と議論が可能になりました。

宮戸:BPORTUSのお客様からも、課題解決にあたり「何れも同じように見え、どのソリューションを選べば良いのかわからない」というお声を頂きます。最適なソリューションの導入には、ITの知識と業務理解が必要になります。予算と解決したい課題を踏まえて要件を定義することが重要です。専門知識なしに課題解決に最適なソリューションを見つけることは難しいと思います。

標準化の議論を進めていく中で、ポイントになった点を教えてください。

関根氏:機能軸で業務を整理したことと、各社の業務を横並びに比較できるツールを導入したことが大きかったと感じます。例えば、業務の締め切りの違いを出し「ここに揃えられないか」という議論ができ、各自がパズルのように工程を入れ替えることで、揃えることができました。

宮戸:業務改善を管理部門が主導する場合、現場からの反発に悩むケースがしばしばあり、人間関係の面での難しさもあると感じます。

関根氏:そうですね。業務の締め切りの前倒しにより、現場から反発を受けるスタッフもいました。「前の会社では事情を理解して融通を利かせてくれた」とか、「自分たちのやり方がベスト。なぜ合わせるのか」とか。そこは、“ファクト(事実)”で説得しました。「ここを変えるとこの工数が削減でき、コストも減る」という事実を伝え、双方のメリットの理解を通じて、現場の納得を得ていきました。

宮戸:私たちのお客様からも、管理部門主導で標準化や効率化を進めた結果、現場や他部門との軋轢が生まれてしまったという話を伺います。だからこそ、トップダウンで進めることが重要です。

関根氏:その通りです。組織やグループ全体の効率化により、一部組織の負担が増えるケースはあります。管理部門主導で提案を行っても全体最適への理解を仰ぐことは難しいでしょう。トップダウンで「全社を挙げてやるべきことだ」と宣言することで、ようやく皆が理解し、自分ごととして取り組むようになると思います。私たち自身も「NECの経営トップが本気であること」が現場に浸透するにつれ改革がスピードアップした実感があります。また、「なぜ自分たちだけが犠牲になるのか」と反発されても、「全体最適に寄与することなので協力して頂きたい」という形で説得できました。

シェアード化を進めていく中で、ほかにも苦労されたことはありましたか?

関根氏:グループ各社を回り「やり方を変えてください」と説得するのは大変でした。トップが宣言しても、各社の都合や言い分があります。特に、情報提供の手間の増加やアクションタイミングの変更等の場合は、きちんと説明し、納得頂くことが大事です。理解を得られない場合は、上長が同行して説得にあたりました。また、標準化の全体ルールの決定も苦心しました。候補は複数あり、事実をもとに、どれをやると一番効果が出るか、スムーズかを、繰り返し会議を行い決定していきました。我々は厳しいことも言わざるを得ず、現場からは相当嫌われていたと思います。

そこに外部の専門家が介在した場合は、よりプラスに働いたと思われますか?

関根氏:「外部の専門家の判断だ」となれば、現場の反発を直接受けることが減り、メンバーのストレスも軽減します。また、躓きやすいポイントとそれを回避・克服する方法を教示頂くことで、より迅速な効率化や標準化、高度化への取り組みができたのではないかと思います。だからこそ、この経験を活かし、課題を抱える企業の皆様に貢献できればと思います。

齋藤氏:お客様の課題は、立場により異なると感じています。社長が代表して課題を語っても、現場では違うという本音を耳にすることもあり、答えは一つではないことを実感しています。それぞれの立場で確認する必要がありますし、現場の状況を深く理解した上で全体を俯瞰し、客観的な整理と示唆を行うサポートを提供していきたいです。

宮戸:間接部門の業務効率化は、多くの企業に共通する課題と考えています。関根さんのご経験には、様々なノウハウが詰まっており、お客様のヒントになると思います。また、段階的に進めることで、リスクも減らせると思います。まずは一歩を踏み出し、「部門間で合意できそう」「紙が多いからペーパーレス化から始めよう」という様に、テーマを決め進めることで、次のテーマや課題も見えてくると思います。

齋藤氏:業務改革・改善を考えておられるお客様からは、ペーパーレスの推進を要望されるケースが増えています。現在進めているプロジェクトでは、お客様の規定の改廃から始め、そもそもの課題のありかを見極めている段階です。私たちは、絵を描くだけでなく、自ら手を動かすことを強みとしており、お客様と共にペーパーレス化やワークフロー導入に取り組み、今期中に紙の資料をゼロにできると考えています。

宮戸:私たちもITを活用した解決の出口を提供していきたいと思っています。例えば、紙の請求書は、郵送費用がかかり、紛失のリスクもあります。請求書の電子化により、これらの問題を解決できます。また、電子化を了解いただけないお取引先がある場合は、紙と電子のハイブリッドでの対応も可能です。

【業務改革・改善におけるポイント】
・“会社軸(組織軸)”ではなく“機能軸”で切り分けることで業務を標準化しやすくなる
・日々の業務と改革活動を並行するためには、ワンマネージメントで進める
・機能軸で業務を整理し可視化する(どの業務に、どれだけ時間をかけ、いつ実行するか)
・整理する項目を標準化することで、属人化している業務も洗い出しやすくなる
・タスク管理ツールなどを活用し、可視化することで、比較しながら議論ができる
・締め切りなどのタイミングに合わせて、前後の工程をパズルのように組み替える
・現場から反発を受けた場合は、“ファクト(事実)”ベースでメリットの説明を行う
・トップが業務改革・改善の意義を明言することで、現場の理解を得易くなり、スピードアップにもつながる
・現場に負担が掛かる改革・改善は、関係各所に丁寧に説明を行い、理解を頂く
・組織間の軋轢で改革・改善推進部門が憎まれ役にならないために、外部の専門家の力を借りる方法もある

【気をつけたいポイント】
・自社に最適なツール等を導入するためには、予算や解決したい点を踏まえた上で、要件定義を行うことが重要
・要件定義には、ITの知識と業務理解が必要なため、外部の専門家に頼る方法もある
・何がしたいか、どこから手をつければいいのかがわからなくても、段階的に進めることでリスクの低減や施策が決め易くなる。まずは一歩を踏み出すことが大事

丸3年かけてシェアード化を実現。定量的な成果に加え、意外な効果も

さまざまな困難を乗り越え、NECグループのシェアード化実現までには、どれくらいの期間がかかったのでしょう?

関根氏:タスク管理による業務整理を始めたのが2021年です。目標にしていた業務をある程度まで標準化できたのは2023年の終わり頃です。少しずつ形をつくり、現場を説得し、理解が得られない場合は検討し直す。メンバーがその工程を丁寧に繰り返し、丸3年かけてようやく60点くらいの形にすることができました。シェアード化実現までには想定外のことも起きます。どれくらい時間がかかり、どれくらい苦労するのかを理解しているからこそ、今後はお悩みを抱えている企業の皆様の相談相手になれたらと思っています。

シェアード化によって、どのような定量的な成果を得られたのでしょうか?

関根氏:NEC以外のグループ会社の経理業務の領域では、それまで100名弱のメンバーで手がけていた業務の10%、10人分の工数削減という大きな成果を得られました。また、Blacklineのマッチング機能の活用、会計システムとの連携で入金自動消込も強化しました。グループ各社の独自性やお客様の特性などに応じたマッチングルールを模索した結果、従来4割程度だった自動消込率を7〜8割にまで高めることができました。

そのほかにも成果・効果を感じている点があればお教えください。

関根氏:従来は特定の個人しか担当できなかった業務を共有・分担できるようになり、大きな効率化を実現しました。シェアード化により、決算情報は仕組みの中で共有され、伝票処理などの証跡も残すことができるようになりました。

齋藤氏:責任ある立場になるほど、日々、大量の承認やメールへの対応に忙殺されている状況があります。なるべく間接業務の負荷を軽減し、コア業務に注力できる環境を築くことは非常に大事だと思います。

関根氏:経理部門では、決算業務などの繁忙期に備えて人をアサインすることが必要でした。決算業務を大きく減らすことで、人も時間も削減できるのです。将来的には、担当する人材を減らし、コスト削減につなげられると考えています。また、NECビジネスインテリジェンスの業務整理フォーマットを活用し、NECグループの経理業務マニュアルを作成したことで、属人化していた部分の解消ができました。また、これらの情報のAI活用により、プロセスチャートも作成できるようになりました。部門を跨いで、業務の始まりから終わりまでの流れを可視化でき、更なる業務改善の議論がしやすくなりました。この段階になり、シェアード化したことが非常に効いていると感じています。

業務効率化とは違う面で、シェアード化が良かったと感じる点はあるのでしょうか?

関根氏:メンバーの人員配置にも良い影響が表れています。キャリアの棚卸しを定期的に行い、その情報から、各自が対応できる業務やレベル感などを把握できるようになり、チーム編成や属人化させないための担当業務変更、引継ぎ、人材育成に活用しています。

【シェアード化によって得られた定量的な成果・効果】
・100名弱のメンバーで行っていた業務の10%を削減。10人分の工数削減を実現
・会計システムと連携したツールを導入。入金自動消し込みのマッチング率が4割程度から7〜8割にまで上昇
・会計監査人に決算情報や証跡などを共有でき、やり取りしていた手間がなくなる
・決算期などの繁忙期に重なる業務を削減することで、人件費の削減に繋げていける

【シェアード化がもたらしたそのほかの成果・効果】
・NECビジネスインテリジェンスの業務整理フォーマットを活用し、NECグループの経理業務マニュアルを作成。属人化を解消し、引き継ぎにも活用
・AIの活用で、プロセスチャートも作成。部門を跨いだ業務の流れを可視化。業務改善の議論が容易になった
・経理メンバーのキャリアの棚卸しにより、人材配置から属人化を防ぐローテーション、人材育成に役立てている

ありがとうございました。それでは最後に、これからバックオフィス改革に取り組もうとしている企業の方に向けて、皆様からメッセージをお願いします。

関根氏:業務改革・効率化を進める際には、経営トップに「どうありたいか」を明確にしてもらうことが大事です。NECグループでは、初期段階のゴールは“ふんわり”としていましたが、経営トップの宣言が各所に伝わるにつれ、活動が進め易くなったことを実感しています。目指すべき姿を共有できれば、そこに向かうための方法を探すことができます。私自身シェアード化の中で苦しんできた経験があるからこそ、お力になれることがあると思いますし、皆様の苦しみを理解し粘り強くサポートしていきたいと思います。

齋藤氏:多くの企業で、直接売り上げに繋がらないバックオフィス機能への投資は後回しになりがちですが、早期にDXを進めることで、大きな手戻りや属人化の解消につながります。ペーパーレスと承認フローのデジタル化を進めると同時にend to endのプロセス改革を図り、情報断絶をなくすことで、経営判断のスピードも大きく向上します。こうした取り組みは単なるコスト削減ではなく、成長のための先行投資であり、小さく開始して効果を実感しつつ範囲を広げることで、長期的な改革に繋げていく。そこに私たちのノウハウを活かし、現実的な進め方をサポートしていければと思います。

宮戸:BPORTUSは、デジタルBPOコーディネーターの専門家の視点で、お客様の課題を俯瞰し、何に対処すべきかを理解した上で、最適なソリューションをご提案していきたいと思います。業務改革は、一度仕組みを構築すれば完成とはいきません。事業は常に動いており、制度や役割、求められるスピード感も変わりますし、法整備やAIの台頭など、外部環境の大きな変化に迅速に対応することも求められます。現場では変化を好まないケースも多く見られますが、業務改善の小さな成功体験を重ねることで、改善のマインドが醸成され、組織文化として定着させることができると考えています。現場と一体となった取り組みを継続することで、ビジネスを環境変化に適応させていくことができるはずです。私たちは伴走を続け、お客様の業務改革のお手伝いをしていきたいと思っています。

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